コラム
大人の矯正は何歳までできるの?高齢者が矯正治療するときの注意点とは
歯並びにトラブルがある方のなかには、「歯の矯正をしたいけど、年齢制限があるかもしれない」と矯正治療をためらっている方もいるでしょう。
矯正治療に年齢制限はありません。
80代や90代のご高齢の方でも、矯正治療を行うことは可能です。ただし、高齢者の歯列矯正は、実施することが難しいケースも少なくありません。
高齢者におすすめの矯正治療
高齢者におすすめしている矯正治療は、ワイヤー矯正やインビザラインと呼ばれるマウスピース矯正です。特に、マウスピース矯正は取り外しができることから、セルフケアが簡単にでき、矯正中にむし歯や歯周病にかかるリスクを抑えられます。
しかし、下記のような口腔環境の高齢者は、歯列矯正の実施が難しいケースもあります。
・歯の状態が悪い
・歯の本数が少ない
・高血圧や骨粗しょう症などの持病がある
・重度の歯周病にかかっている
そもそも、歯列矯正は、天然歯を動かして綺麗な歯並びに整えることが目的です。入れ歯やブリッジ、インプラントなどを入れている場合や歯の状態が悪い場合は、矯正治療の難易度が上がってしまいます。ご本人が矯正治療を希望されたとしても、口腔内の環境を診断したうえで、矯正治療を実施するかは検討する必要があります。
また、高血圧症のような循環器疾患や骨粗しょう症などを患っている方は、抜歯の際に全身状態が不安定になりやすいことが懸念されます。術後の顎骨壊死も引き起こしやすいため、患者様の全身状態をチェックしたうえで、矯正治療を行うかを決定します。
「8020運動」とは?
歯に関心がある方は、「8020運動」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。80歳になっても20本以上の歯を保つようにしようといった運動ですが、歯周病が原因となり、多くの高齢者は天然歯を喪失してしまっています。日本人の約8割は歯周病患者とも言われており、高齢者になると歯周病の有病率はさらに高まります。
歯周病にかかっていると、歯を支える歯周組織がボロボロになっており、歯列矯正が難しいケースが多くあります。無理に矯正を行えば、歯ぐきに大きな負担を与え、炎症を悪化させてしまうこともあります。そのため、歯周病にかかっている方の場合は、矯正治療を行う前に歯周病治療からスタートします。
歯列矯正の重要性
ここまでは歯列矯正が難しいケースを挙げましたが、歯列矯正を行うメリットは多くあります。
高齢者が歯列矯正を行うメリットは、以下の通りです。
・活舌が良くなる
・顔の歪みが取れ、若々しい顔貌になる
・目立ちやすい下の歯並びを綺麗にできる
・しっかりと噛めることで胃腸の消化を助けられる
・むし歯や歯周病を予防できる
歯並びが整うことで、しっかりと自分の歯で食べられる喜びを得られるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。消化を助けるだけではなく、全身の健康を守ることにもつながります。
また、矯正によって顎の左右の筋肉を均等に使いやすくなることで、顔の歪みは取れやすくなります。患者様によっては、若々しい口元になり、自信を取り戻せるなどのメリットを実感する方もいらっしゃいます。
かみ合わせが悪い方の場合、サ行やラ行を発音しづらいケースが多く見られますが、歯並びが整うことで活舌が良くなります。活舌が良くなることで、おしゃべりも楽しみやすくなるでしょう。
ただし、高齢者の歯列矯正を行った場合、歯の移動が遅く後戻りしやすいことを念頭に置く必要があります。その場合は、保定期間も長くなる傾向があるため、矯正治療後も定期検診に足を運ぶことが大切です。
矯正治療を行うことで、「食べやすくなる」「話しやすくなる」などのメリットを多く実感できます。生活の質を上げたいと考えている方は、歯の矯正治療を検討してみましょう。
戸畑なかしま歯科
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